搬送だけじゃない”品質管理”への貢献。
白鶴酒造による、ベルトの使い方。
生産の4Mに、プラスワン。新しいMの視点、「計測」とは?
食品生産における永遠の課題のひとつが、「品質管理」です。消費者のニーズの多様化に伴って、ひとつの工場でいくつもの品種を取り扱う必要があり、ラインや製造工程も増加している現在。その一方で、消費者の健康に関わる食品工場では、品質管理においてひとつのミスも許されません。
品質のバラツキは、一般的に「生産の4M」から起こると言われてきました。「人(Men)」、「方法(Method)」、「材料(Materials)」、そして「機械(Machine)」です。これらの要素一つひとつが組み合わさって、製品の品質は決定付けられます。しかし、近年ではここに新たな「M」を加えた、「5M」の考え方が生まれています。それが「計測(Measurement)」です。
計測の視点では、最終的な品質の合否の測定はもちろん、各工程における温度や外観などの条件を設定し、その条件が保たれているかを常に計測できる状態にしておくことまでが求められます。それぞれの工程ごとで条件を管理すれば、問題の発見、改善もスピーディーに行えます。さらに一部工程のみ条件を変えた場合の品質の変化もすぐに確認でき、より良い品質を生み出すための条件を更新していくことも可能になります。
ここからは、厳しい品質管理基準を設定し、工程の途中で基準に満たない製品を取り除く、白鶴酒造株式会社における品質管理の考え方をご紹介します。今回は特別に、灘魚崎工場の中を見学させていただきました。
白鶴酒造 灘魚崎工場から学ぶ。1日28万本を生産する工場の、品質管理。
2012年に新設された、白鶴酒造様の灘魚崎工場。別工場から運ばれてきたお酒を、瓶やパック、ペット容器などに充填する役割を担う工場です。扱う品種は400点以上。その生産スピードは、1時間にパック6,000本、カップタイプのものは30,000本。1日の生産総数は、1.8リットル換算で28万本にものぼっています。
その膨大な量を製造する工場では、どのような品質管理が行われているのでしょうか。今回は、灘魚崎工場の参与・山内唯司氏と、副工場長・松宮雅一氏に詳しいお話をお伺いしてきました。
山内氏
「お客さまの手元に届く最終工程でもある充填を任される灘魚崎工場だからこそ、品質の管理には余念がありません。たとえば、パックに傷のひとつだってつけるわけにはいきません。仮に次の工程へ搬送中の瓶やカップに不良が起きた場合は、測定機器の判定によって生産ラインから取り除かれていきます。たとえば熟練の作業員が細部まで確認し、ようやく気づくラベルの向きの誤差であったとしても、一度取り除かれた製品が市場に出ることは決してありません。」
松宮氏
「サイズや容器にとらわれずにいえば、年間で取り扱う製品は約6,400万本にものぼります。それだけの数を扱うからこそ、ひとつのミスが大きな損害につながり、そして多くのお客さまの安全・安心を脅かすことになります。だからこそ、私たちは徹底的な品質管理に取り組んでいます。」
バンドー化学製品は、どう使われている?「ベルト」が担う、品質管理の役割。
この灘魚崎工場において、バンドー化学のベルトはどのように貢献しているのでしょうか。山内氏はこう語ります。
山内氏
「伝統的な製法によるお酒を、より多くのお客さまに届けるために、ベルトは欠かせません。私は入社して42年になりますが、当時から『酒粕を運ぶ』『お酒を運ぶ』という役割においてベルトは活躍し続けていました。」
現在でも使われている搬送用のベルトには、抗菌仕様など、食品を運ぶために求められる衛生面へのこだわりを持った設計が施されています。しかし、技術の進歩に伴って、ベルトの役割は、直接製品や部品を搬送するだけにとどまらなくなってきたと言います。
“運ぶ”から、“動かす”、“守る”まで。多様化していく、ベルトの役割。
山内氏
「ベルトには、強い耐久性や製品へのやさしさが求められるようになりました。パックへの傷ひとつさえ許さないためには、よりソフトに、それでいて製品が滑り落ちないような強いグリップ力が必要になります。」
そのほかにも、ベルトの用途はどんどん多様化していきます。たとえば、さまざまな製造機器の駆動を支える、歯付ベルト「シンクロベルト」。従来はチェーンをスプロケットにはめて駆動させていたのですが、そのメンテナンスには油を差す必要があり、衛生面に不安を残すものでした。その箇所をベルトに取り替えることで、より高い衛生管理を実現することができるようになりました。
また、搬送分野で長く活躍し、その信頼性を評価いただいたことから、製品に傷をつけないよう、製造ラインのストッパーとしてベルトの材料を採用いただいている工程もあります。
灘魚崎工場で活躍する、さまざまなベルトたち
消費者の健康に関わる、食品を手がける工場であること。それだけに、品質管理の徹底は重大な使命です。
白鶴酒造様では、製造を間接的に支えるベルトも、製品の高い品質へ貢献する役割を担っていました。
フィルムライン
シュリンクフィルムでの包装の際、製品を抑え込む役割を担う。
高強度丸ベルト
駆動部分に使われたベルトによって、ローラーコンベア上の製品が運ばれる。
ストッパーの表面材料
製品に傷をつけないために、この工程に実績のある搬送ベルトの材料が製品と接触する部分に採用されている。
機械は、消耗品。専門家のサポートも、品質維持に必要不可欠。
最後に、品質を担保する役割も担う機械そのものの品質、つまり精度や耐久性についてもふれておきましょう。生産を繰り返せば、いつかは故障、不具合が発生してしまいます。常に高い品質を維持するために、定期的なメンテナンスや部品の交換が必要です。
バンドー化学は、ベルトの専門家として、メンテナンスを必要とするお客さまの声にもお応えしています。技術担当のスタッフがお伺いし、相談いただいた箇所のベルトの点検や交換を手がけています。白鶴酒造様の灘魚崎工場においても、機械メーカーと連携をとりながら定期的なベルト交換を行っています。
いつでも、同じ品質のものをつくり続けるために。バンドー化学は、納入後もお客さまの製造に寄り添っています。搬送工程やベルトのことでお困りになったときは、いつでもバンドー化学にご相談ください。
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