ベルトメーカーが解説!コンベヤベルトのトラブル原因と対策

コンベヤベルトを使用した搬送システムは、大量の土砂や鉱石を運搬できるシステムであり、安定した稼働が求められています。
そこで本記事では、コンベヤベルトによる突発的なライン停止や生産ロスを招く原因と、その対策をベルトメーカーの視点から解説します。安全で安定した操業の参考にしていただければ幸いです。

1.コンベヤベルトのよくある問題

コンベヤベルトによるライン停止に繋がる原因として、特に多いのが【ベルト切断】と【運搬物の落下】です。

⑴ ベルト切断

ベルト切断とは、コンベヤベルトが切れてしまい、運搬能力を失ってしまった状態を指します。
ラインの停止に直結しますので、非常に緊急度の高い問題です。

⑵ 運搬物の落下

コンベヤベルトから運搬物が落下し、本来運搬すべき量を適切に運搬できていない状態を指します。
ベルト切断に比べると問題の緊急度は高くありませんが、安定して運搬物を供給できなかったり、周囲が汚れたりすることがあり、悩まされる問題の1つです。

これらの問題は、いずれも安定的な操業に悪影響を及ぼします。
では、なぜこのような問題が起きてしまうのでしょうか。突発的に発生してしまう問題もありますが、多くの場合ベルト周辺で生じるトラブルの積み重ねで発生していることが考えられます。
次の章で、そのトラブルが起きる原因と対策を紹介いたします。

2.ベルト周辺で生じるトラブルの原因

【ベルト切断】や【運搬物の落下】といった問題は、下記のようなトラブルの積み重ねで発生しています。ここでは主なトラブルを4つ取り上げます。

⑴ ベルトやプーリの摩耗・剥離
⑵ 鋭利な形状の運搬物によるベルト表面の損傷
⑶ ベルトの蛇行
⑷ ベルト表面への運搬物の付着

次に、これらのトラブルについて、原因と対策を解説いたします。

トラブル 原因 対策

(1)ベルトやプーリの摩耗・剥離

ベルトに強い衝撃がかかっている。

・インパクトローラを使用する。
・シュートポケット、バースクリーン、チェーンカーテン、ラダー シュートなどを設置し、衝撃を緩和する。

・衝撃に強いベルトを選定する。

ベルトとスカートの間に運搬物が詰まる。

インパクトバーAR、ノンスピルを使用する。

スカートゴムにコンベヤベルトの端材を使用している。

スカート用のゴム板を使用する。

スクレーパゴムが摩耗し、本体金具とベルトが接触している。

スクレーパゴムを交換する。
(2)鋭利な形状の運搬物によるベルト表面の損傷

鋭利でカバーゴムを傷つけやすい運搬物を運搬している。

タテ裂きに強いベルトを選定する。

運搬物のなかに鋭利な物が混入しやすいラインである。

混入を防止するような事前の対策をとる。
(3)ベルトの蛇行 運搬物がベルトの端に偏っている。

・シュートの位置を調整する。

・バッフルボードなどで積載位置を変える。

リターンローラとスナッププーリの回転不良や居つき。

居つきを除去する。

(4)ベルト表面への運搬物の付着 クリーナーに運搬物が滞留している。

・クリーナーチップ付近の運搬物を除去・清掃する。

・運搬物が付着しにくいベルトを選定する。

クリーナーの摩耗により機能が低下している。

・クリーナーチップ、クリーナー全体を取り換える。

・運搬物が付着しにくいベルトを選定する。

3.ベルト周辺で生じるトラブルの対策

上記の表から原因を3つピックアップし、詳しく説明いたします。

⑴ ベルトに強い衝撃がかかっている

コンベヤラインの投入部で、運搬物が落ちてくる箇所に普通のキャリアローラを使用していると、落下の衝撃でコンベヤベルトが傷んでしまう可能性があります。
ベルトの摩耗や剥離につながるほか、ベルト芯体が傷んで突発的に切断する問題にもつながりますので、投入部ではインパクトローラを使用するようにしてください。
また、落差が大きい場合はシュートポケット、バースクリーン、チェーンカーテン、ラダーシュートなどを設置することで衝撃を緩和することもできます。
また、機械側の調整が難しい場合は、衝撃に強いコンベヤベルトを選定することでも対策が可能です。

⑵ 鋭利な物を運搬している

ガラスや鋳物のバリなど、鋭利な物を運搬している場合、運搬物がコンベヤベルトに突き刺さってカバーゴムが傷んだり、突き刺さり方によっては突然ベルトが切断したりすることにも繋がるため、対策しておく必要があります。
運搬物のなかに鋭利な物が混入しやすいラインの場合、混入そのものを防止するような事前の対策も重要となりますが、そもそも運搬物が鋭利な物の場合は、タテ裂きや突き刺さりに強いコンベヤベルトを選定することで、問題の解消が期待できます。

⑶ 運搬物の付着による居つき

居つきとは、ローラやベルト表面に運搬物が付着した状態のことです。
この居つきを防ぐために、クリーナーを使用して運搬物の付着を除去することも大切ですが、クリーナーの調整も難しく、完全に除去することは困難です。
そこで、運搬物がベルト表面に付着しにくいベルトを選定することで居つきを防ぎ、クリーナーのメンテナンスの軽減にも効果的です。

4.トラブルを未然に防ぐためにおすすめのコンベヤベルト

下記の表にお困りごとに合わせた製品をピックアップして記載しました。

お困りごと 製品名 特長

・運搬物による衝撃でベルトの摩耗、剥離が発生し、短寿命となっている。

大塊Ⓡベルト

・耐衝撃性、耐噛み込み性に優れ、心体損傷が 少ない。

・耐カット性、耐摩耗性に優れ長寿命。

・運搬物が鋭利なためベルトのタテ裂き事故が発生しやすい。

運搬中に鉄片などタテ裂き原因となりやすい異物が混入しやすい。

タテボー6型・6型B

・補強のない製品と比較して約2.5~3.0倍以上のタテ裂き抵抗力。

・突き刺さりに対する抵抗および緩和作用が大きい。

・ベルトへの運搬物の付着が気になる。

・ベルトに付着しやすい運搬物を搬送している。

イージーリリースⓇNeo

・弊社従来品の非付着ベルトと比較して、石炭、鉄鉱石の付着量が約80~90%低減。

・特殊配合の作用により優れた非付着性を持続。

紹介させていただいた対策や製品をお使いいただき、トラブル解消にお役立ていただければ幸いです。加えて、小さなトラブルの積み重ねが大きな問題に発展することを防ぐために、定期的な点検実施をおすすめしています。
バンドーグループではお客様により安心・安全にコンベヤベルトをご使用いただけるよう、「コンベヤベルト オンサイトサービス」を承っております。

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