タイミングベルトの故障とは?
タイミングベルトは「動力を同期的に伝える」ことができます。したがって、動力を伝えられない状態になることはもちろん、動力を同期的に伝えられなくなることも、故障と考えられます。前者の故障形態を「切断」、後者の故障形態を「歯欠け」と当ページでは分類しています。
この他にも歯が摩耗する「歯摩耗」や歯元や背面にヒビが入る「クラック」などもありますが、これらは「切断」あるいは「歯欠け」に至る1つの過程ということになります。つまり「歯摩耗」や歯元や背面の「クラック」が進行すると「切断」や「歯欠け」などの故障につながるといえます。
タイミングベルト故障の原因
タイミングベルト故障の原因についてご紹介いたします。
(1)ベルトの「切断」とは?
ベルトの「切断」の直接的な原因は、「心線への過剰なダメージ」と「心線の強度不足」です。それぞれどのような要因があるのかをご紹介いたします。
➀「心線への過剰なダメージ」の要因
・過負荷(オーバーロード)によって歯飛びが繰り返された場合
・急停止(ショックロード)によって過負荷・歯飛びが繰り返された場合
・張力不足によって歯飛びが繰り返された場合
・アライメント調整不足によるプーリフランジへの乗り上げが発生した場合
②「心線の強度不足」の要因
・定められた最小プーリ径を下回る場合
・設計時に多軸による負荷を考慮できていない場合
・設計計算に用いた速度よりも早い速度で駆動させている場合
・直接ベルトに水がかかる環境や高湿環境下で使用した場合 (※ガラス心線の場合)
(2)ベルトの「歯欠け」とは?
ベルトの「歯欠け」は、「歯元クラック」「歯摩耗」「歯底摩耗」から進行して起こります。それぞれどのような要因があるのかをご紹介いたします。
➀「歯元クラック(※1)」の要因
(※1…ベルトの歯元にひび割れが入ること)
・過負荷(オーバーロード)によって歯飛びが繰り返された場合
・急停止(ショックロード)によって過負荷・歯飛びが繰り返された場合
・高温環境を想定していないベルトを高温環境下で使用している場合
・設計計算に用いたものよりも背面アイドラのプーリ径が小さい場合
②「歯摩耗(※2)」の要因
(※2…ベルトの歯が摩耗してすり減ること)
・プーリとベルトの噛み合い歯数が少なく、ベルト1歯あたりにかかる負荷が高すぎる場合
・ベルトの張力が低い場合
・プーリ表面が粗い場合
・粉じんが噛み込む場合
③「歯底摩耗(※3)」の要因
(※3…ベルト歯底部分がすり減ること)
・張力過大によって歯底面圧が高い場合
・プーリ表面が粗い場合
・粉じんが噛み込む場合
タイミングベルト故障の対策
タイミングベルトが故障するさまざまな原因・ケースにおける対策を紹介します。
このようにベルトの状態から故障の原因を推測し、対策を行うことで早期破損を防ぐことができます。
しかしあくまでもベルトは消耗品です。寿命による「切断」「歯欠け」が起こる前にベルト交換することで「突然稼動しない」という事態を防ぐことができます。そのためには定期的にベルト外観(「歯元クラック」「歯摩耗」「歯底摩耗」)の有無をご確認いただくことを推奨しています。バンドー化学では、それぞれの進行状態による交換目安推奨時期を下表のCランクとしています。